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●プロローグ

 

「この景色もいつか無くなってしまうかもしれないんだよ」

 

島根県出雲市大社町鷺浦

 

島根半島の西端。出雲大社の北側にあるその小さな港町は、その昔北前船で栄え、かの司馬遼太郎をして「この景色をいつまでも残したい」と言わしめた。

その美しい街並は、彼との約束を守るかのように、時代の流れから身を隠し、時を止めひっそりとその景色を現在に残している。

 

島根県松江市 松江大橋

 

水郷と呼ばれる、街の真ん中に宍道湖を湛える山陰地方の中心地、松江。その南北を隔てる様に流れる大橋川に架かる松江大橋は、市民の重要な交通手段として、そしてその美しい姿は、この街のシンボルとして長く人々に愛され続けてきた。しかし老朽化と、数百年に一度と言われる大橋川の氾濫を防ぐ為の拡幅工事という二つの理由によって、その役目を終えようとしている。

 

長く見慣れてきた、当たり前に目の前にあるどこか懐かしいこの街の景色も、大きく変わり始めようとしている。

 

時代の激流は、当たり前にある目の前の景色も、伝統も技術も、人の気持ちさえも、私たちに変化を要求している。

 

物語は島根県のこの二つの街を往来しながら、変わりゆくもの、変わらないもの、そこで産まれ、そこで育った双子の少女の旅立ちまでの成長と、彼女たちを取り巻く大人たちの再生の姿を描いていきます。

 

主人公の双子リカとルカ役に、撮影当時高校三年生だった島根県在住の川井梨奈と優菜が、そしてその周りの大人たちを小林麻子、堀田直蔵、尚玄、南正人、染谷将太他、ベテランから気鋭、そしてミュージシャンなど個性的な面々が島根に駆け付け、演技初経験の二人の脇をしっかりと固め、地元島根の演劇人らと共に双子の個性を引き出してくれました。

 

そして、県下で活躍されている写真愛好家など、「ここで生きている普通の人々」を多数起用し、まだ人生を歩み始めたばかりの二人に語りかける台詞ではない自然な言葉は、それに耳を傾ける二人の素直な表情を映しだしています。

 

物語の鍵となる名曲「ミャージック」をはじめ、出雲市在住の森山らきあ、松江市出身の子猫ブルースが提供。全編に渡って流れる音楽が、物語と風景に新たな意味合いと色を与えています。また、劇中では伝説のブルースマンで旅人の南正人のライブシーンも必見です。

 

映画は二人の少女の旅立ちまでの物語を軸に、丁寧に撮影された美しい風景と、ドキュメンタリータッチで描かれる自在なカメラワークによって、そこで暮らす人々の生活をリアルに、そして幻想的に描き出します。

 

© 「リカとルカ」製作委員会 ETHNOSエトノス

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